猫捕獲に関するあれこれ

猫を捕獲するにあたって必要なあれこれの話



■紐の用意
太さ3ミリないしは4ミリの金剛打ちロープ(紐)を使用します。軽くて首に引っ掛かり安い3ミリのがおススメ。強度優先で4ミリのを使うのも良いが、いずれにしろ綿ではなく、強度に優れるナイロン系のモノを使いましょう。長さは1回につき1メートルもあれば十分です。

紐の先端に、中に紐が一本スムーズに通るくらいの小さな輪っかを作る。(実際に通してみて適度に引っ掛かりがあるくらいの大きさにします。この輪っかをあまり大きくし過ぎると紐が猫の首に掛かった後、首の下の方まで大きな輪が広がってしまうことがあります)
この輪っかはもやい結びで作ると良い。

もやい結びの詳しい結び方は他サイトで確認して下さい。

もやい結びで最初から小さな輪っかを作るのは難しいので、まず少し大きめの輪っかを作ってから、紐を少しずつスライドさせて小さく縮めます。

作った輪っかに紐のもう一方の端を通し、大きな輪を作ります。
通した紐の端にもう一回もやい結びで輪を作ります。
この輪を、しっかりした柱や木の幹などにくくりつけたカラビナ等に引っ掛けます。

■仕組みの解説
紐部分の基本の仕掛けはこれだけのことです。
つまり、こうしておいて大きな輪に猫が一度首を突っ込むと、それを抜くときに猫の首に生えている毛並みの関係で紐が首に自然に引っ掛かります。
その時点ではただ軽く掛かってるだけなので器用に首を引いて逃げられてしまうこともありますが、実際には振り払おうとして不用意な動きをして自ら輪を縮めてしまい逃げられなくなる猫の方が多いのです。

この罠が有利なのは一度や二度逃げられても、その場合はただなんとなく紐が引っ掛かっただけなので猫にはこれが罠だとは理解できないことです。
なので何度でもやり直しがききます。
また、捕獲器のような箱罠だとどうしても入らない警戒心の強い野良猫が一定割合いるものですが、これだとそういう個体もあっさり捕まえることが可能になります。

最初に小さな輪っかをもやい結びにしたのは、こうしておくと後で紐を外すのが楽だからです。
ここを普通の結び方にしてしまうと猫が逃げようと紐を引っ張った時にその小さな輪っかも締まってしまうので、全体がきつく締まり過ぎて後で外すのに苦労します。
その点、もやい結びにしておくと小さな輪っかの大きさは固定され、紐全体も必要以上には締まらないので、棒などでつついてやるだけで簡単に外せます。
結果、普通に首輪をしてるのとほぼ同じ状態になるので、猫にも優しい罠として多目的に使えるわけです。
重要なのはここをもやい結びにしておいても、いったん紐がスッとしまって猫の首の大きさにフィットしてしまうともう猫の頭ではこれをゆるめて逃げるということは、やはりできないということです。

■鉢に紐をセットする
あとは大きな輪の向こうに猫が首を突っ込みたくなる餌を置けばいいだけ、というわけですね。

高さ15センチ程度の植木鉢の口回りに針金を巻いて、そこにさらに針金を引っ掛けてフックを四か所で作ります。
(ここでフックに使っているのは、ダイソーで売ってる一番細い0.5mmの針金です。)
前述の金剛打ち紐の輪をそのフックの上に軽く置いてください。(ここでは4ミリの紐を使ってます)
内径10センチ程度の輪になるようにフックを調整します。
この内径10センチというのは標準的な成猫の大きさを想定しています。
ターゲットの猫の大きさが標準より小さい、といった場合はもう一回り小さくするなどの調整が必要になるでしょう。
ですがこれをあまり小さくし過ぎてしまうと、今度は餌を手でかき出そうとする猫も出てくるので難しいところです。
そのあたりの調整が必要なところはこの紐罠のデメリットです。

鉢の底にアルミ箔をしいてそこにカリカリ餌を少々。
鉢は簡単に倒れないように、まわりに石を置くなりしてしっかり支えて下さい。
これはプラスチック製の非常に軽い鉢なので風で簡単に飛ばされないようにというのもあるが、猫もよく鉢を倒してからゆっくり餌を食べるということをするので、その対策でもあります。
首を突っ込んでそのまま首で鉢を倒すということをよくします。


紐は、ほんとうはしっかりした柱や木の幹に結び付けた方が良いです。
今回は撮影やなんやかんやの便宜上、ブロックに結びつけてあります。
少し上からゆるりと垂らす感じで設置すると良いでしょう。
猫が鉢から首をあげた後の猫自身の不用意な動きで紐がしまる仕組みなので、紐にも少し余裕を持たせておいた方が良いのです。

以上のような要領で、実際に仕掛けてみた結果の映像がこちらになります。
●植木鉢と紐で野良猫を捕まえてみた


■捕獲確率をあげられるかもしれない一つの作例

これは植木鉢のかわりに、100円ショップのセリアにあったバスケットで仕掛けてみた作例です。
このバスケットも高さは15センチほどで、穴がたくさんあいているので針金のフックを作って固定するのに便利です。紐は3ミリの金剛打ちロープを使用。

ここではさらに罠正面にブロックをひとつ配置してあります。
こうして正面からの侵入を防いでおくと、猫が横から侵入して来て、小さな輪っかが首側面に入ります。すると猫が首をあげた時の紐の引っ掛かりが安定するのです。
捕獲確率をあげるちょっとした工夫です。

*  *  *



■3年ぶりの更新
さて、上の映像をYouTubeにupしたのが2017年3月23日。今からもう4年ほど前のことになります。
昔の監視カメラ映像だけあって実に見づらい。
そして一部の要望に応えて急きょ、このあたりまでのことをまとめてこちらのページを作ったのが2018年1月あたりのこと。
それからも3年たちずっと放置状態だったが、今や映像機材もよくなってるし、その後気づいたこともいくらかあるのでそろそろこのページも更新しておこうと思う。

■失敗から学ぶ
まずはこちらの新しい映像からご覧ください。
●紐罠★失敗例

紐がうまく首に引っ掛かったように見えるが二度ともすぐに逃げられてます。
強引な猫だとこんなふうに紐が掛かってたら首を振って力ずくで振り払おうとして紐が締まって捕まる、というパターンがよくあるが、この猫のように柔軟に首を動かして逃れるというのもよく見るパターンです。
では、このような猫は紐罠で捕まえることはできないのでしょうか?
そこを考えてみよう、というのが今回のテーマです。

今一度今回の失敗映像をよく見てください。
今見るとこの仕掛けにはミスが二つあるのがわかります。
まず一点。
前回バスケットの作例で示唆した通り、紐の結び目は首のうなじではなく横に入るようにした方がよいだろう、ということで今回の仕掛けも首側面にいれることに成功していてそこまでは良いのだが、その紐が結びつけてあるカラビナとの位置関係がよろしくない。
これでは猫が鉢から首を抜いた時に自動的に結び目が引っ張られることになり猫もすぐ違和感を感じて抜けようとしてしまいます。
この紐罠というのは猫が鉢から首を抜いた後、紐が首に掛かっているのに気づかない時間が長ければ長いほどそのまま捕まる可能性が高い罠なのです。
なので、紐を結びつけるカラビナの位置は猫が鉢から顔をあげてもなるだけ遠ざからないところにするのが望ましいということです。
ただこの一点目に関しては仕掛けたときにもある程度わかってたことで、いろんな実証実験の一環として映像撮りながら猫の動きを観察しているという意味合いもあるので、まあ良いのです。

問題は二点目。
こちらに気づくのに時間がかかった。
それは猫の後ろに大きなスペースを作ってしまっているということです。
後ろにスペースが十分にあれば猫はいくらでもあとずさりできるので、まっすぐ首を引いて紐をかわすのも容易にできているのです。
これは一点目とも関係していて、体を大きく使いながら首を引けているのですぐに紐の長さに余裕がなくなって、首を上げた次の瞬間にはもう紐をかわそうという動きになっているとも言えます。
それまでは紐罠で捕まえた猫が暴れたりすると面倒なので、わざわざまわりに何も置かないようにして広めのスペースに罠を設置してたわけで、これは盲点でした。
後に少し違うシチュエーションで、このうまく紐抜けしてた猫が紐罠で捕まったので、なんでかな?と現場を確認したら、猫があとずさりした先にたまたま大きな石があったんですね。
その時に、ああそういうことか!と気がついた次第。

■紐罠の完成形?
以上の点を踏まえた上で紐罠を仕掛ければ、紐罠の捕獲確率をさらに上げることができるのでは、と考えて実践してみたのが次の写真です。

猫の侵入路を完全に一方向に限定し、少し土を掘って軽い窪地にしたところに猫を誘い込む作戦です。回りには石の障害物を配置して万全を期してます。
鉢の右側まで壁を置くと撮影のジャマなのでここでは石を適当に置いてあります。

ターゲットの猫が標準よりやや小さめかなということで、緑色のフックを追加して輪の内径を9cm程度にしてます。
結果の映像がこちら。
●紐罠☆成功例1

これはうまくいき過ぎですねw
紐の掛かりがやや浅めだったにもかかわらず、むしろ自分から掛かりにいってます。
これも体を使って首を引くことができず、その場で首をあげざるを得ないように誘導してあったから起こったことと言えます。

上のはなんだかうまくいき過ぎでヤラセが疑われるレベルなのでもう一例。

この日は夜、雨が降りそうだということで雨除けのビニールシート(レジ袋ですね)を設置してる以外は1例目とほぼ同じです。
●紐罠☆成功例2

首になんとなく違和感を感じても、やはり体を大きく動かして逃れることができないので、その場でうろうろしてるうちに紐にからめとられるというパターンです。
今回は撮影の関係もあるのでちょっと大掛かりな場面設定になってますが、実際には猫の後ろにあたるところに軽く障害物を置いておくとか、わざと狭苦しい場所に紐罠を設置するとかでも十分なことで、簡単に応用できることかと思います。
ひと言で言えば「退路を断つ」という、わかってみれば実に基本的なことでした。

以上が私が試してみた紐罠の概要です。
捕獲器がないけど猫を捕まえたい、
どうしても捕獲器には入らない警戒心の強い猫をなんとかしたい、
そのような場合などに試してみると良いでしょう。


2021年2月21日





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