猫捕獲に関するあれこれ

猫を捕獲するにあたって必要なあれこれの話



ばくわな実戦ファイル


file05 対グレ太戦


チャラ夫と小十郎()
変に思う人もいるかもしれないが、私がこれまで捕まえた猫には実は名前がついていることが多い。

自作の小さい箱型の捕獲器を使ってたころは、なかなか捕まえられない猫も多く必然それらの猫とは長い付き合いになっていたので、その過程でなんとなく名前がついたというのもある。
その気がなくてもちょっとしたきっかけで名前というのはつくもので。
そうやって識別していると、札付きのワルみたいなもんで、あいつは絶対捕まえる!という強いモチベを保ち続けることができるというものである。
また、記憶にも残りやすいので後々その時の経験をふと思い起こして役立てることもできる…かもしれない。
まあそういうのもそれなりに利点はあるんじゃないかな…とは思っている。

そんな中で一番古く記憶に残ってる猫といったら、チャラ夫だろうか。自作の捕獲器で少なくとも2回は捕まえたはずなのだが、その都度逃げられてしまった。
捕獲器を持ち上げたときにできたちょっとしたすき間から逃げられた時のことをよく覚えている。以降、茶色のラッキーな奴ということでチャラ夫という名前がついた。
その後捕獲器にも入らなくなってしまったのでなんとなく放置していた時期が長かった。たまたま夜道を歩いていて猫が庭の方に入っていくのを見て「どうせまたチャラ夫だろ」と半分あきれ気味に見ていたときのことなどを思い出します。

他に、小十郎というのもいた。白黒のハチワレ猫で肩に黒いしるしがあったので当初はカタクロとよんで識別していたのだが、カタクロカタクロとよんでいるうちにカタクロ小十郎になって、さらにはただ小十郎とよぶようになった。(※とある戦国大名の有名な家臣に片倉小十郎というのがいるのです)
この小十郎に関しては映像もどこかに残ってたんじゃないかと思い、今回この文章を書くにあたり確かめてみたら、なんと私が最初にYoutubeにupした次の動画の猫がその小十郎であった。



up日は2014年09月11日。8年以上前の動画になる。解像度があらいが確かに肩に黒いしるしが確認できる。
小さな自作器ではやはり捕まえられず、結果この猫とも長いつきあいになった。

無論名前をつけてなかった猫も多いが、それらの猫のことは実際あまり思い出せなかったりするものです。

名前はコードネームに
この何年かで私自身の猫の捕獲法が、自作の小さな捕獲器→紐罠→ばくわな、と変遷したことによって、個々の猫とつき合わされる時間というのはどんどん短くなっていった。
特にばくわなになってからは、1回くらいは失敗することがあっても2回目のチャンスまでにはたいてい捕まる。
そうなると、名前をつけるようなきっかけもほとんどなくなってしまった。
だいたい名前をつけて宿敵みたいに個々の猫を識別する必要からしてなくなったともいえる。

なら今はもう名前もつけなくなったか?
そう考えるのが普通だが、事実は逆である。
むしろ以前よりも名前の必要性が大幅に増したのである。

以前との一番の相違は、映像ファイルの存在である。
それもカメラの基本性能が上がったことで、暗視でも解像度の高い高画質映像が簡単に撮れるようになったことが非常に大きい。
そのような高画質映像の分析がいかに捕獲に役立つか、それは数回にわたるここまでの「実戦ファイル」を見るだけでもよくわかってもらえることだろう。
それらの映像の元ファイルはたいてい複数のファイルに分かれているので、記録した日付けを記したフォルダにまとめて整理していくことになる。
結果そのようなフォルダが日付けごとにたくさんできる。
普通にやればこんな感じだろうか。

これは猫とは関係ない、スマホで撮った個人的写真をPCに移して保管してるだけのフォルダの様子だが、もし猫関連のファイルフォルダがこんな感じになっていたらとても困ったことになる。
たとえば2~3年前に捕獲した黒猫の映像が必要になったor確認したい、とかいう場合、これではどのフォルダを開けばいいか皆目わからない。
結局片っ端からフォルダを開いては実際に映像を再生してみて、これでもないこれでもない、とやってくしかなくなる。
仕事の効率が非常に悪いのである。
そこで、もし日付けのあとに目当ての黒猫の名前がついていたら!ということになる。
そしたら目当てのファイルはすぐに見つけられる。

そんな実用上の理由から、今は猫に名前をつけざるを得ないのである。
昔は気まぐれでつけていたようなアナログな名前だったものが、今やPCのファイル管理上欠くべからざるコードネームとなったとでも言えようか。

小十郎()再び
あとで見返すようなファイルもほぼないので名前いらない日付けだけでいいや、というのもたまにはあるがそれはかなりのレアケースというもので、実際には、捕まえた後で無理やり名前をつけてるケースもよくあるくらいである。(初見で捕まえた場合は必然的にそうなる)


たとえば、ばくわなによる捕獲例として最初に紹介したこちらの猫なども、初見でいきなり捕まった猫なのでこれきりの映像しかありません。
しかし、元ファイルはPC上で〔20210511小十郎(二代目)〕というフォルダに入っていて、実はこの猫には、二代目小十郎という随分立派な名前がついているのです。

上の画像で確認できる通り、白黒のハチワレ猫で肩にはやはり黒いしるしがはっきりとついている。

(これぞ、まごうことなき二代目カタクロ小十郎…)

そう命名するのにさほど時間がかかることもなく。
猫に名前をつけたら、あとは日付けの後にその名前を付したフォルダをつくって関連のファイルをまとめて入れて保存しておく。
そうしておけば、どんな過去の忘れがちなファイルでもひと目で見つけ出すことができるし、あとからこうして利用することも容易になるというわけです。

とっておきグレ太ファイル
そんな居並ぶフォルダ群の中から今回選んだのが、〔20220130グレ太〕という名前がふられたフォルダです。
グレ太という名前は、この少し前にグレタ・トゥンベリがまたなんかで話題になっていて、ニュースで見たとかいう理由で適当につけただけで特に意味はありません。
それより日付けに注目です。
20220130、すなわち2022年1月30日とあります。つまりこの映像は一年前の2022年2月22日の時点ですでに私の手元にあったということです。
しかしあまりに良い映像だったので、ばくわな一周年というこの良き日のために、一年以上にわたって特別に取って置いたものなのです。
とっておきの映像というのはまさにこれのことですね。
それを今こうして一年のサイクルを経て無事ここに紹介できるというのは、誠に喜ばしいことというほかありません。



まずなんといっても色がついている!
これは私の動画としてはかなりめずらしいことです。
このグレ太という猫はこの動画の前にも3回くらいは来ていて、この時にはすでにグレ太という名前がついていました。
いずれも夜。一度はしっかりばくわなが仕掛けてあったのだが、餌に食いつく前におもりのあたりの匂いをしきりにかいでいて、その時おもりが落ちて罠が作動してしまい(その時は今より敏感な設定にしてあったのでそのような誤作動が起こりやすかったかもしれない)、それにびっくりして餌も食べずに逃げていったという経緯があった。

グレ太の目を読む
なのでこうしてここに昼間来たときも、最初からここに餌があるだろうことがわかっていて餌めあてで来たわけです。
しかし、箱の中を一瞥して餌があることをしっかり確認しただけで、すぐには食いつきません。

しばらく何をするでもなく、あたりをうろうろしていますが、これは注意深く周囲に敵がいないかを探っているのですよね。
餌の前に陣取って自分の存在をはっきり示した上で、それに反応する敵がどこかに潜んではいないかゆっくりと動きながら確かめているのだと思います。

そして確かに敵らしきものはいないようだと確認した上で、慎重に少しずつ餌を食べていきます。
餌を食べ進めながらも、まわりにやたら目を配り続けていて注意を怠りません。
やはりどこかに餌番をしているなんらかの敵がひそんでいて自分を狙っているのではないかと警戒しているのか。

猫の体つき、毛並みの微妙な感じまでわかるのは昼間の映像ならではの良いところですが、夜の暗視映像との一番の違いは目ですね。
夜の映像では赤外線を反射して光って見えるだけできわだって目立つ部分ではあるが、ただそれだけです。
それが昼間の映像になると目の中の瞳の動き、猫の目線がどこに向いているかといったことまでとてもよくわかります。
そのせわしなく動く目線の動きに猫の警戒心というか、非常な恐れの感情さえ読み取れるような気がします。

グレ太に勝つ
今回の映像中、私が一番目をみはったのは動画の2分5秒あたりのところ、箱の中の餌に首を伸ばしていたグレ太が急に首を引いてこちらを振り返るシーンです。

回りのひも等に一切触れることなくサッと首を引いてさらにぐるっと頭を回転させて後ろを確認するという一連の動きが一瞬でした。そのスピードと動きの精確さ、猫としてはあたりまえの動きなのかもしれないが、そこにあらためて猫ならではの凄みを感じたというか。

確かに箱の中に首を突っ込んで餌を食べている瞬間、完全に死角になっている背後から敵に迫られるのが一番危険なわけで。

真後ろをまず確認して、さらにすこし上に目線を移して木の上辺りに敵が潜んでいないかどうかまで確かめています。




勝負は一瞬で決しました。
今回の映像が撮られた2022年1月30日というのは、ばくわなも最終テスト段階というか、マニュアルを作るにあたってほんとうにこれで良いのかなと、ともすると不安をかかえていたような時期のこと。

グレ太という猫は慎重さとスピードを併せ持っていた、総合力に秀でた猫でした。
それに見事打ち勝つことができたこの罠ならばきっとうまくいくことだろう。
かすかな不安など吹き飛ばし、その未来展望を明るく照らし出してくれたかのような、この対グレ太戦というのはそんな一戦でもあったのです。



2023年2月22日
by 皆ショ計画






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